東北紀行 (35頁)
東北地方の主に内陸部の土地々の観光、温泉、歴史を巡ってます。
( 「日本周遊紀行」の続編)
平成年22年(2010年)10月秋季
福島県⇒宮城⇒岩手県秋田県⇒山形

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 東北紀行(68)泥湯 「泥湯温泉郷」,




 川原湯地獄へ向かう途中から見た「泥湯温泉郷」の集落



そこを通り過ぎるとすぐに、荒々しい風景の中、狭い流れの高松川沿いに建物群が見えてきた。
湯治場の雰囲気を残す小さな木造旅館が3軒と湯小屋が通りの左右に並んで、まるで江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気である。

決して交通の便がいいとは言えないが、今、この泥湯温泉が都会の温泉ファンには大人気なのだ。
まさしく、都会人が憧れる「秘湯」のイメージが、ぴったり当てはまるからなのだろう。かつては近郷近在の湯治客で賑わっていた泥湯温泉だったが、こんにちでは利用者は逆転してむしろ県外からのお客のほうが多いのだと言う。


小さな集落を成す静かな山間の温泉は鄙びた風情、情緒がたっぷりである。 
この先には自然で造り上げた足湯や小さな祠の薬師神社があり、付近にはたくさんのマッドポット(噴出す泥の壺のようなもの)が顔を覗かせ、ゴボゴボと地球の息吹が感じられる。 
確かにここは火山系の温泉で、特異な湯が堪能できそうである。
周囲は深い山々に囲まれていて、それでなくても当地は秘湯中の秘湯であろう。


そう当地は、有名な栗駒山の西の山麓に当たり、 栗駒国定公園の範疇にある。
超長い奥羽山脈の中部に位置し、秋田・岩手・宮城県、更には山形県の県境にも近い。
栗駒山自体が火山性の活火山に指定されている山で、昭和19年には水蒸気噴火を起こし、北部中腹には火口湖である昭和湖を形成している。

従って、周囲には火山性の温泉も多くあり、栗駒山を囲む岩手、宮城、秋田、山形には一軒宿から温泉郷までの名湯、秘湯が多数存在する。
無論、泥湯温泉もその一つであるが、周辺東側には小安峡温泉、西側には秋の宮温泉郷がある。 

又、岩手県側には矢びつ温泉・真湯温泉・須川高原温泉、宮城県側には「くりこま高原温泉郷」、鬼首温泉郷、ご存知、鳴子温泉郷、そして、山形県側には最上温泉郷である赤倉温泉、瀬見温泉などがある。


思えば、一昨年(2008年)の「岩手・宮城内陸地震」により大規模な地滑りが起き、宮城県側周辺の須川、駒ノ湯、温湯、湯ノ倉、湯浜等の温泉が、地震による影響で休業や廃業に追い込まれる被害を受けている。



さて、泥湯(どろゆ)温泉は山深い地域にあって、温泉宿が三軒しかない鄙びた静かな谷間の宿である。 
お楽しみの温泉であるが、入浴は後回しにして先ずは本日の主要な目的地である「川原毛地獄」へ向かう。

泥湯の温泉地より曲りくねった登り坂を車で少し走ると、山と山の間から急に灰色の溶岩ドームのようなものが立ちはだかるす。 
まことに奇怪(きっかい)な稀有な風景を形作っている。

これが恐山、立山と並び称される日本三大地獄の「川原毛地獄」である。
草木が生えない灰色の小山のような山肌が突然現れ、いたるところから蒸気が吹きだし、鼻をつく強い硫黄臭があたりに漂っている。 

起伏のある荒涼とした斜面は正に地獄を示し、一帯は不気味な光景を作りあげている。 
車道からは遊歩道が二方向に設置されているが、右上の方はガス噴出で危険なせいか現在は通行止めになっている。 
一部は熱蒸気と共に熱湯が噴き出している場所もあり非常に危険のようだ。 
誤って足を入れたりすると、生きながらにして地獄を体験することになる。

そして、左手の歩道は谷底、渓流へ降りてゆく道で、かの有名な川原毛地獄の大湯滝が在るところに通じているようだ。

次回、「川原毛地獄



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 東北紀行(69)泥湯 「川原毛地獄」  ,
 「川原毛地獄」の写真集は次項に記載してます ,



泥湯温泉からさらに車で5分ほど進むと、奇景・川原毛地獄がある

かつて硫黄鉱山があった跡で、今でも所々から硫黄ガスが噴き出し、そのガスのせいで草木が育たない荒涼としたガレ場が広がっている。 まるで異次元空間のようだ。

この川原毛地獄の下部にある川原毛大湯滝も近年知られるようになってきた。
川原毛地獄から湧出した温泉が川となって流れ、それがその先で滝になっている。
その滝壺に落ちる湯が夏期にはちょうどいい湯加減となって、滝壺に裸で入れば、これぞまさに天然の打たせ湯と露天風呂。地獄ならぬ極楽の気分満点だ。


地獄の入り口に一人の「おばさん」がのんびりとアイスクリームを売っていて聞くところ、大湯滝へはゆっくり行って徒歩約30分で駐車場(地蔵森)、更に約20分くらい下ると湯滝温泉があるとのこと。
是非、行ってみたいところだが、入浴時間を入れても往復2時間程度かかるようだし、この後、泥湯温泉へ浸かる予定もあるので、時間の関係もあって今回は致し方なく取り止めた。 


尚、川原毛地獄の大湯滝へ行くにはもう一つのルートがあって、先ほど通った県道51号線の三途川という地から川沿いに向かって5〜6km進むと駐車場あり、ここから20分で滝の温泉があるらしい。


湯滝は大小二本あり、その下に滝坪のような湯船が所々にあって湯の温度は通常だと適温らしい。 
ただ、乾季や大雨のときなどはそれに応じて温度は上下するという。

滝つぼにて湯浴みをするとき、身体に傷があったり滝の飛沫が目に入ると酸性湯の為痛い。
湯は天然の露天風呂そのもので、やや白濁気味の湯でヌルッとした浴感らしく、分析はかなり強力な酸性を示す源泉である。
やはり火山噴出性の温泉であることが判るがという。

駐車場付近にもいくつかの湯浴み可能な露天風呂があるようで、川のいたる所から熱湯状態の源泉がいくつも噴出しているという。
いずれにしても日本では、北海道知床の「カムイワッカの湯滝」と1,2を争うほどの天然野天の川原湯で、温泉好きにはたまらないであろう。



思えば小生、「日本一周旅行」や「北海道旅行」の際、二度ほど「カムイワッカの湯滝」を尋ね、湯浴びをしたことがあった。
北海道知床のウトロから名勝・「知床五湖」へ、更に、ダートコースの車を揺らせながら10kmほど行くと、やっとカムイワッカ川の入り口に達する。 

湯浴みのできるカムイワッカの湯滝の壷はこれより更に、徒歩で川の中の沢を約30分ほどかけて遡行(沢伝いに上ってゆくこと)しながら登ることになる。 
途中、所々に小さな滝壺があるが、お目当ては「四の滝」、「五の滝」と呼ばれる本命滝壷であり、これらは湯温も適温で、10数人ほど入れる天然の湯船となっているのである。
こちらも知床連山の火山性の山・硫黄山を源とする硫黄臭のする酸性泉で、川原毛地獄の大湯滝同様、身体に傷がったり、目に入ったりするとかなり沁みるのである。

しかし残念なことに、知床が世界遺産に登録されたことにより観光客が激増したため、沢歩きには転落や落石の危険が増しているという。 
その理由によって地元を管理する環境省・林野庁は、2005年には適温の滝壷のうち「四の滝」以外は立ち入り禁止となり、さらに2006年には林道から100メートルほどで登ったところにある、「一の滝」の滝壷より上流への立入が禁止されてしまつたという。


ご存知、知床一帯は近年、世界遺産に登録されている。 
尚、詳しくは小生のホームページをどうぞ。

リンク:「日本世界遺産紀行」; http://orimasa2005.web.fc2.com/
リンク:「知床紀行」; http://orimasa2005.web.fc2.com/siretoko1.htm





 カムイワッカ湯滝の「四の滝」野天風呂 (平成16年9月28日;小生です)
 女性の艶かしい姿も・・!


次回、「川原毛地獄」の写真集





 東北紀行(69)泥湯 「川原毛地獄」  の写真集
本文は前項に記載してます



 

 
 川原毛地獄入口に立つ「案内板」


 

 

 
 硫黄煙が噴出す荒涼とした川原毛地獄


 
 川原毛地蔵菩薩


 

 

 

 
 川原毛地獄の湯の滝と滝壺野天風呂

次回、「泥の湯と湯宿




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