東北紀行 (41頁)
東北地方の主に内陸部の土地々の観光、温泉、歴史を巡ってます。
( 「日本周遊紀行」の続編)
平成年22年(2010年)10月秋季
福島県⇒宮城⇒岩手県秋田県⇒山形

     詳細目次(2)        
小生の旅と山旅  日本周遊紀行  世界遺産と鎌倉・湘南  日本周遊ブログ  日本周遊写真集T


【本文関連情報




 東北紀行(79)銀山温泉 「古山閣の鏝絵」  ,



古山  閣の正面に飾られてある「鏝絵」(こてえ)



銀山温泉の旅館は古風な三階建てが目立つが、特に、建物正面に千鳥破風、唐破風の屋根をつけていて、それぞれに意匠を尽くしていることだろう。
そして、更に各旅館の戸袋などに作られた鏝絵の装飾が施してあることだろう。

創業当時よりのそのままの姿で残っていて、あるものは、旅館の屋号であったり、縁起物のデザインであったりで、中でも目を楽しませてくれるのが、橋の向こうに窓から煌々と明かりを照らし、聳えるように建っているのは「古山閣」の建物である。

古風な造りの唐模様の主玄関と脇玄関が先ず目を引くが、何といっても眺め縁を施した二階の上部に古風な絵が横にズラッと並んでいる。 正面を飾る1年の行事を表しているとされる「鏝絵」が飾ってある。

建物の持つ圧倒的な存在感もさることながら、この壁面に掲げられている風物を描いたとされる見事な絵が実に素晴らしい。 
鏝絵(こてえ)というらしく、漆喰(しつくい)を塗った上に鏝で風景や肖像などを描き出した絵のことで、作者として有名なのは伊豆松崎の「入江長八」であろう。


因みに、入江長八は一介の左官建築職人から絵心を加えた名人、名工となって名を残し、松崎の町並みを一新したという。 
江戸末期、松崎に生まれ、12才で左官建築の弟子となり19才で江戸を出て左官の修行をつむが、同時に3年間、狩野派の絵も学び、江戸から明治にかけて活躍し左官の名工と言われた人物である。 
左官とは、壁を塗る職人、壁塗りのことでその材料は「漆喰」(日本独特の塗壁材料で、石膏・石灰・セメントなどをそのまま、または砂などをまぜて作ったモルタルをもいう)といわれるものである。

小生の「日本周遊紀行:http://outdoor.geocities.jp/n_issyuu2005/」 リンク 「伊豆松崎:http://outdoor.geocities.jp/n_issyuu2005/nn-2.htm」(入江長八のこと)



銀山温泉の中でも、たくさんの鏝絵を街頭正面に目にすることができる古山閣の鏝絵は華やかさ、数ともに群を抜いているだろう。 
温泉街には古山閣の他に、旅館永澤平八、能登屋などに鏝絵があるようだ。




 旅館・「永沢平八」 



 旅館・古勢起屋  



 昼間の旅館・古勢起屋




町の中心に至ると通りは一段と華やかさが漂う。
川面の通りに面した各宿の部屋からは明かりが灯っていて、宿全体の姿を映し出しているのみならず、周辺地域を明るく照らしているのである。 

更に、木製で造作された三階、四階建ての巨大な家屋からは、各部屋が全面的に川側に面するように造られており、部屋の窓を開け、縁から見渡すと優雅な温泉街が一目で見渡せるようになっている。 
従って、旅館に泊まった場合は川側に面する部屋に泊まるのが理想であり、見渡すことが出来ない格差のある山側とはおのずから値段のほうも違ってくるのである。

強いて言えば、こちら川岸では旅館・永澤平八、能登屋、そしてあちら岸では小関館、古勢起屋別館(旧源泉館)それに古山閣などは銀山温泉を代表する木造建築で、その圧倒的豪華さは目を見張るものがある。

次回、「能登屋



.
【本文関連情報




 東北紀行(80)銀山温泉 「能登屋」 



 銀山温泉老舗の「能登屋」



  開祖・木戸佐左エ門の鏝絵



気が付くと、能登屋は現在工事中で足場や被幕おおわれていて、『 当館では今年7月1日より来年4月頃までの間、本館改装及び別館改築工事を行ないます。その為、この期間は全面休業させていただきます。 本館建築から90年近くの時間が経ちました。文化財の建物を大事に営業してまいりましたが、年を経つにつれ、設備等の老朽化も目立ちはじめておりました。先々代が残したこの建物を、これから50年100年と残して行くためにも、一度しっかりと補修する時間が必要だと考えた次第です。』と記されている。

それでも玄関周辺や概ね外側の様子は伺える。 
特に外形景観としては、登録有形文化財に指定されている「能登屋旅館」の本館がいちばん立派で、素晴らしく感じた。


能登屋の特徴的なのが建物正面横に大きく「木戸佐左エ門」と鏝絵の看板が掲げられている。 
尤も、宿の軒下には木戸佐左エ門の他にも「旅館水沢平八」などと名前を書いた看板がけっこう有る。 
昔の湯治宿はどこも主人の名前で呼ばれ、今もその名残を掲げているのが面白い。

木戸佐左エ門というのは、能登屋旅館創業時の当主の名前とのことで、その昔、銀山がにぎわっていた頃に北陸地方出身の方が多かったことから屋号として「能登」の名前を使ったといわれる。

入口の周りの2本の柱頭に洋風オーダーの装飾が見られ、これらも鏝絵で作者は鏝絵の中に書かれているサインから大石田の「玉舟」という左官職人だといわれる。 
玉舟は伊豆松崎の入江長八に弟子入りし、大正末期から昭和初期に大石田・尾花沢・山形を中心に活躍した職人で、能登屋旅館の鏝絵は昭和7年頃の仕事だという。



銀山温泉の中で最も古い歴史をもつという「能登屋旅館」は、銀山温泉で唯一、国の登録文化財にも指定されていて、創業は明治25年、117年前に遡るという。 
能登屋の祖・木戸佐左エ門は銀山採掘の功労者でもあり、銀山衰退後は湯治客相手の湯宿を始めたのが始まりという。 

木造茅葺きの湯宿から生まれ変わったのが大正10年、以来、その風格ある佇まいは、現在まで守られている。
特に、景観を印象づけているのが屋上階の望楼であろう。 
建物は木造三階建て、金属板葺きの屋根とを和風を基調としながらも、玄関上部のバルコニーや玄関柱の飾り、半円形の欄間などに洋風建築も取り入れられている。

次回、更に「銀山温泉



【本文関連情報




     詳細目次(2)         
小生の旅と山旅  日本周遊紀行  世界遺産と鎌倉・湘南  日本周遊ブログ  日本周遊写真集T
日本周遊紀行:詳細目次
詳細目次(東日本)  信越・東北西沿岸 北海道T、世界遺産:知床 北海道U 東北・東沿岸 関東沿岸
詳細目次(西日本)  鎌倉・湘南 東海 近畿 四国 山陽 九州(北、西) 九州(南) 九州(東)  沖縄  
               山陰・北近畿  
北陸  世界遺産:紀伊熊野 石見銀山
【旅のリンク集】
旅の紀行・記録集
山の紀行・記録集 山のエッセイ
「旅行リスト」
日本周遊紀行「東日本編」
日本周遊紀行「西日本編」
日本周遊紀行 (別URLです)

【日本の世界遺産紀行】 
北海道・知床  
白神山地 
紀伊山地の霊場と参詣道 
安芸の宮島・厳島神社  
石見銀山遺跡とその文化的景観 

ハワイ旅行2007
九州旅行2008
東北紀行2010
沖縄旅行2008
北海道道北旅行
北海道旅行2005
南紀旅行2002

古都鎌倉紀行
「山行リスト」 

立山、剣(天の記)(1971年)
白馬連峰登頂記(2004・8月)
北ア・槍−穂高(1968年)
上高地・明神(2008年)
南ア・北岳(1969年)
八ヶ岳(1966年)
八ヶ岳越年登山(1969年)
谷川岳(1967年)
尾瀬紀行(1973年)
丹沢山(1969年)
西丹沢・大室山(1969年)
西丹沢・檜洞丸(1970年)
丹沢、山迷記(1970年)
奥秩父・金峰山(1972年)
「上高地雑感」
「上越国境・谷川岳」
「丹沢山塊」
「大菩薩峠」
 


スキーの記録  
「スキー履歴」




inserted by FC2 system